起業する若い人たちがいる。立派なことだ。私の同年代よりしっかりしている感じの若い人が起業しているケースもある。がんばれといいたい。
そういう若い人に考えて欲しいことがある。
「何をしているのですか?」「何を目指しているのですか?」
勿論、いまさら「時価総額世界一」をめざすとんまな企業家はいないだろう。そういっていたライブドアのほりえもんは今は昔だからね。じゃいったいなにを目指しているのだろう?私としては資本主義社会のゲームに参加するのだから、安直なボランティア主義的な感覚で起業して欲しくない。特に、キャッシュフローの源泉を IPA や県、市に頼るような経営をしてほしくない。
意外と多いね。どっかの公募のお金でずーーーとやっていく会社。そういうのは資本主義のゲームに参加してないからね。
また、かといって、だましだまされの唾棄すべき商社的な処世術を身につけるようなこともしてほしくない。
何をしているのかをもう一度考えて欲しい。多くの IT 関連の企業家は、そこに金があるからという理由で IT 産業を選んでいる。例えば、BLog のシステムや、検索エンジン、SNS に興味のある人は多いだろう。 そこに人が集まり、多くの人あるいはスポンサー企業がお金を落としていく。その派手さは起業するものにとって魅力的なのかもしれない。
これは、いわば税金方式の企業スタイルだ。1クリック10円として、100 万クリックで 1000万円という計算方式の企業スタイルだ。サーバーを買ってきてちょっとした Linux(FreeBSD じゃないよ) の知識とソフトの知識があれば、自分の労力以上の見返りがある(可能性がある。実際はもっと大変だろうが)。
ここで考えて欲しい。それが未来永劫 1 万クリック/月でもあなたはその仕事を続けるかどうか?これだとせいぜい 10万円しか稼げない。
コンピュータが好きでネットワークの管理が好きな人というのが世の中にはいて、そういう奇特な人は、100クリック/月でも、その管理をし続ける。まぁそれは一種、趣味なわけだが、私はそこに本質を見る。自分がやりたいことがそこにあるからね。自分のやりたい事があって、それで生計を立てていくために 100万クリック/月 を目指すのは意味がある。しかし、100万クリックという目標が最初にあって、そのために自分の知識を活用するのは本末転倒だ。
起業してから7年ほどたつが、「i mode できゃらっぱでちゃりーん」を目指していた人や、IPA からのお金を目指していた人など、いろんな人を見てきたが、多くは消えていいっている。
私のお金に対する結論は「労働に対する対価」である。
結局、人間は汗水流して働くことに意義がある。そこに社会貢献というアンプが加わって、金銭的な価値が倍増することはあっても、基本的にはこつこつと働くことにこそ意義がある。100 万クリックには意義がない。
それを考えると企業の出発点は「やりたいことがある」でなくてはならないと思う。勿論、その「やりたいこと」は「時価総額世界一」ではだめだよ。
参考までに書くと、私の場合は「組み込みシステム」。そして、何を目指しているかというと、江戸時代のかんざし職人。かんざし職人はちょっとやそっとで生産性は上がらない。だから、本当にこつこつと丁寧に生産していった結果、その対価として金銭的な価値を得る。あるいは日本の左官屋さん。無名であっても歴史にのこる壁を作ることが出来る。
かといって、絶対になってはいけないのは「ブルース」的なぷーたろー会社。ボランティア会社といってもいいかもしれない。「ぼくやりたいことがあって、それでめしくえているからいいもんね」的な会社。それなら趣味でやってなさい。
資本主義のゲームに参加するならそれなりの覚悟がいる。社会貢献という名の元にゲームから逃げないで欲しい。そしてそのためには、IPA なんかから金をもらい続けちゃだめだ。