新千葉 ガーベージ・コレクション

FPGA マガジンやインターフェースで書けなかったこと等をちょぼちょぼ書いてます。@ryos36

技術者オイゲン

オイゲンはこの何日かGPSにご執心だ。何かあるとGPSの情報を見ている。おなじ KONCAR にいるのだから緯度経度は変わらないだろうに。夢中になるとずーとやり続けるというのが技術者の基本的に要求される性質なので彼はそれだけでも優秀な技術者だ。他の人によるとオイゲンはコメントを書かないという不評もあるようだ。しかし、私も基本的にコメントを書くソースはだめなソースだと思っているし、そもそもコメントを書くという行為が施行の妨げになる。優秀な技術者はそんなことをしている暇はないのだ。そして、優秀な技術者はソースからその意図を感じることが出来る。コメントは基本的に必要ない。

彼から logiMEM と logiBMP の説明を聞く。logiMEM は XMB および PLBv4.6, OPB をサポートするメモリアクセス用の IP コアだ。SDRAM/DDR にマッチするように設計されているがピン数をセーブするために Flash ROM も共存させることが可能だ。各バスには優先順位として固定的な優先順位とさらにラウンドロビンの優先順位を設定することが可能だ。 Flash ROM を共存させた場合は Flash ROM がアクセス可能なパーセンテージを設定することが出来、いわば課金的なプライオリティを持つことが出来る。Flash ROM にアクセスしないときはその設定されたパーセンテージのいかんにかかわらず SDRAM に100% の帯域を使うことが出来る。SDRAM/DDR に対しては2つのバンクを扱うことが出来そうすることにより高速かつ大容量のメモリを扱うことが出来る。バンクを使わないことも出来る。クロックは内部回路を通す場合と通さない場合を設定でき通さない場合は DCM を使いより高速のアクセスが可能になる。更に SDRAM/DDR に対してのアクセスについてポリシーを設定でき同じバンク同じロウならクローズせずに高速アクセスが可能になる。毎回クローズすることも出来る。DDR のシビアなタイミングに答えることが可能なようにクロックに対してディレイを設定することが可能だ。これによりホールドタイムをきっちりと取ることが出来る。SDRAM/DDR に対して至れりつくせりの高機能なIPコアであり、これらの設定はSDRAMのシートから各値を設定すればよい。使い勝手が非常によく完成度が高い。

logiBMP は 2D および 2.5D のアクセラレータだ。一部機能が logiBITBLT とかぶる。これは logiBITBLT を使わないという選択肢のためである。たとえば logiBMPの高機能な機能と単純な色の塗りつぶしと転送をしたいといった場合 logiBMP ひとつで十分ということになる。logiBITBLT とあわせて使う場合はそれらの単純な機能をオフにすることが出来る。logiBMP を使うと効果的な図形の変形が出来る。回転、拡大、縮小、そして任意の形への変形。これらはマトリックス計算を必要とするが高校レベルの行列と三角関数の知識があれば容易に使いこなすことが出来る。複雑な計算はいらない。そもそそも複雑な計算を CPU がしなくてもよいようにある IP コアだから当たり前だ。展開時は画像の補間を必要がある。拡大すれば当然隙間があくから保管する必要があるし、回転させても同様に中途半端な座標計算をしなければならないので時間がかかる。特にある特定の点を考えたとき補間のためには上下左右などの点の情報が必要だ。それを単純に計算すると離れた位置のアドレス上の点を読み込まなくてはならず非常に効率が悪い。そこで、3つのポリシーを選択できる。1つは何も最適化しない。遅いがFPGAの資源は使わない。もう1つは Biliner を高速にするための配置。もう1つはSwizzingで、いずれの方式も配置を工夫することにより補間を高速に行う。クオリティに関してはBilinear の補間のオンオフが出来る。もちろん Biliner による補間をしたほうが画質がきれいになる。

logiBMP の用途は広い。カメラからの入力に対して logiBMP を適用すればテニスコートを横から取っているのに真上から見るような映像を作ることが出来る。これで一歩 logiHAWKEYE に近づいた。最近では日産が似たようなソリューションを出しているがそれが簡単に実現できるということだ。こんごどっかの FAIR でデモンストレーションをすることが出来ると思う。うまくいけばトレタマだ。

久しぶりに技術的な内容になった。我々はザグレブで遊んでいるわけではない。

オイゲンの丁寧ね説明にサンキューをいう。以前メールのやり取りをしてこの人はすごい技術者だと思っていたのだがやはりすごい技術者だった。あえて本当によかった。