山に続く道中にある家

ダバーの家は山のふもとにある。ザグレブ市が山に囲まれていて、その山々に続く道の途中にダバーの家はある。中心街から歩いていくことも出来る。日本でも山の手という言葉があるがおそらくちょっとした高台にある家々は高級住宅街なのだろう。ダバーの家に行く前に妹に預けてある子供をピックアップするという。街中を走りダバーの妹の家の前に着く。ダバーの妹はときどき xylon で働いていると聞く。満面の笑顔でそしてそれを絶やさない人だ。笑い顔はダバーにそっくりだ。ダバーも笑うと目が細くなり顔のしわが中央によっていかにも楽しそうな顔になるが妹はそれ以上に楽しそうな顔になる。ダバーの父親もそばにいる。いくつかの国を回っていたとのことで英語が達者だ。広島にも行ったことがあるそうだ。「ザグレブはどうか?」と聞かれたので「大変よい街だ」と答えると満足そうにうんうんうなずいている。ダバーの2人の子供を車に乗せると我々はダバーの家へと向かった。

ロコはもうすぐ8歳。サッカーを週に3回習っている。地元のあまり強くないサッカーチームに所属していてポジションはディフェンダーだ。ユラは4歳。恥ずかしそうに車の真ん中で下を向いている。いつもは前を見るための場所取りでけんかをしているらしい。ザグレブの中心街の西側を抜けなだらかな坂道をのぼりダバーの家に着く。駐車場はなく道の脇のスペースに車を置く。さらに石の階段をのぼるとダバーの家だ。車が通る音や街のざわめきがなく非常に静かなまさにリラックスするために帰ってくる場所だ。

家の中に入ると奥さんのソニアが我々を歓迎してくれた。昔バスケットをしていたという彼女は私より背が高い。笑顔の中にもインテリジェンスなのか威厳のようなものを感じる。私がクロアチアのネクタイと言っていたのを覚えていてプレゼントとしてネクタイを用意してくれていた。カルロが帰ってくる。14歳?の彼はもう私と同じほどの身長だ。あいさつもそこそこに恥ずかしそうに自分の部屋に隠れていった。そういう年頃だ。

食事の時間となった。キッチンは中央にあり居間とダイニングを分断している。テーブルの上にはすでに食事が用意されている。最初にスープ。クロアチアでは最初にスープを飲む。あっさりとした味付けで中にパスタが入っている。今までカンティナのボリュームのある脂っこい食事に閉口していた我々の胃を癒すかのような味だ。フォカッチャは上にグレープがのっている。ライス、いか、サラダどれをとってもあっさいりしていておいしい。特にサラダのドレッシングは絶品だった。オリーブオイルとレモンそして香菜のマジョラム。普段酒を飲まない私もほんのちょっとだけ白ワインをいただくことにした。

食事の間中ユラはみんなの気を引くことばかりをしては怒られる。家中を彼の消防車にまたがり運転する。クラクションを鳴らし音楽を鳴らす。そしてテーブルに戻って一口二口食べてそしてまた消防車にまたがる。ソニアが怒りシュンとなっているのもつかの間また大きな音で音楽を鳴らしてしまう。さすがに「しまった」という顔のユラ。ソニアが「ナイスミュージック」と肩をすくみユラを子供部屋に連れて行く。最後はロコとユラがけんかしてユラが泣いて終わる。毎日同じストーリー。日本でも同じだよダバー。

時間はゆっくり流れる。ダバーは赤ワインを私は白ワインをちろちろなめながら、リビングでゆっくりとくつろぐ。静寂があたりを包み込みjこうしてリラックスとした時間を家族とともにゆっくりと過ごす時間というのが他に取って代わることが出来ない至宝である事を感じさせる。